フラグシップに進化したGシリーズ~LUMIX DC-G9

Panasonic LUMIX DC-G9 PRO
Panasonic LUMIX DC-G9 PRO
 海外で11月8日に発表されたパナソニックの新型フラグシップ機、LUMIX DC-G9が、国内でも正式発表となりました。

 発売は2018年1月25日の予定で、実売価格はボディ単体で21万円程度、12-60mmF2.8-4.0の標準ズームのキットで29万円程度の見込みとのことです。

 すでにネット上では予約を受け付けている店舗もありますが、概ねメーカー予想価格よりも1万円程度安価になっています。

 発売開始までは、まだ2ヶ月以上ありますので、実際にはもう少々買いやすい価格になるかもしれません。

 位置づけとしては、2016年10月に発売となったDMC-G8の後継機となりますが、中身はワンランクアップしており、フラグシップ機であるDC-GH5の兄弟機と言えます。

 実際にDMC-G8の発売開始時点でのボディ単体実売価格は11万円前後でしたので、価格面でもクラスの違いを示しています。

 これまでのGシリーズは、ファインダー部をボディ中央においた一眼レフスタイル・モデルのスタンダード機の位置づけであり、フラグシップ機のGHシリーズとはクラスが異なっていました。

 GHでは、とくに4K動画撮影機能が強化されていますが、それだけにとどまらず、静止画撮影やボディのつくりの点でも、スタンダードGシリーズとは一味違う存在でした。

 今回の進化で、DC-GH5と並ぶフラグシップ機となったことで、より選択の幅が拡がったように思います。




DC-G9のボディデザインを見る

 DC-G9は外装に金属が採用されているだけでなく、塗装もレザートーン塗装が施されており、フラグシップ機として存在感を示しています。

 とくに、電子ビューファインダー部の直線的なデザインは特徴的であり、ソリッドな印象を受けます。

ボディ前面

Panasonic LUMIX DC-G9 前面

Panasonic LUMIX DC-G9 前面

 レンズマウント部から見えるイメージセンサーサイズと比べ、ボディがしっかりと大きさを確保していることがわかります。

 同社の製品ではDMC-GF7のように、小型軽量化を重視して設計されている製品もありますが、DC-G9はその対局に位置するカメラとなります。

 正面から見ると、大型のグリップ部が印象的であり、モードダイヤルの赤いラインがデザイン上のアクセントになっています。

 マウント部の右下には、新たにファンクションレバーが搭載されており、ダイレクトに設定モードの切替が可能です。

 また、マウント部の右上にはシンクロターミナルが設けられています。このあたりは、あらゆるシーンに対応する必要があるフラグシップ機ならではの装備と言えます。

ボディ背面

Panasonic LUMIX DC-G9 背面

Panasonic LUMIX DC-G9 背面

 ボディ背面を見ると、インターフェース部は基本的にDC-GH5のものを踏襲していることがわかります。

 たとえば、親指部分にはジョイスティックが設けられており、電子ビューファインダーをのぞいたまま、フォーカスエリアの選択ができるようになっています。

 電子ビューファインダーも大型化され、被写体を一回り大きく確認することができます。

 このクラスのカメラは、どちらかといえば電子ビューファインダーを使った撮影がメインとなりますので、やはりクラスに応じた進化と言えます。

 液晶モニターは3型104万ドットのパネルで、DMC-G8と同等のものが採用されています。

 タッチ操作に対応しているとともに、2軸方式のバリアングル液晶となっており、G8やGH5と同様に可動軸が左側に設けられています。

 横に可動軸があるバリアングル液晶は、縦位置撮影でも画面をチルトさせることができることや、ボディの高さを低くするメリットがある一方で、画面をチルトさせるためには必ず液晶モニターを左側に開くことが必要であるため、レンズ光軸からズレるといったデメリットもあります。

ボディ上面

Panasonic LUMIX DC-G9 上面

Panasonic LUMIX DC-G9 上面

 ボディ上面を見ると、まず大型の液晶パネルに目がいくと思います。

 これは「ステータスLCD」で、撮影設定状況を集中的に表示させるものです。

 フィルム時代から、フラグシップ機はもちろんのこと、上級機にも必ず液晶パネルが設置されていました。

 デジタルカメラには必ず液晶モニターがあり、電子ビューファインダーであればファインダー部分にも容易に情報を表示できますが、それでも液晶パネルの有無は、撮影スタイルに大きく影響を与えるものです。

 ちなみに、DMC-G8やDC-GH5にも液晶パネルは搭載されていませんので、この点は機種選択のポイントの一つになると思います。

 シャッターボタンの同軸に電源スイッチが置かれ、その下には2つの電子ダイヤルが置かれています。

 また、左側には大型のモードダイヤルが設置されており、下側には二段式でドライブモードダイヤルが置かれています。

 DMC-G8やDC-GH5では、左側に単独のドライブダイヤル、右側にモードダイヤルという配置でしたので、モードダイヤルとドライブダイヤルを重ねることで、液晶パネルの設置スペースをつくったといえます。




DC-G9の特長

高画質を極めたフラグシップ機

GH5と同じイメージセンサーを採用

 DMC-G8では有効1600万画素のセンサーでしたが、DC-G9ではDC-GH5と同じ有効2033万画素のセンサーが採用されました。

 画素数が増えているにも関わらず、設定できるISO感度はISO25600までと、G8を踏襲しています。

 なお、イメージセンサー自体はDC-GH5のものと同じですが、DC-G9ではセンサー表面に「AR(Anti Reflection:反射防止)コーティング」が施されています。

 このコーティングにより、センサー面での反射により発生するフレアを抑制することができますので、とくに逆光時の撮影などで、よりクリアーな画像を得られることができます。

80M画素相当の高解像度撮影に対応

 G9のもう一つのポイントが「ハイレゾモード」の搭載です。

 これは、ボディ内手ぶれ補正機能を活用して、センサーを物理的にシフトさせながら8枚の写真を撮影し、8000万画素相当の画像を生成する機能です。

 動作原理としては、ソニーのα7RIII「ピクセルシフトマルチ撮影」に似ていますが、ソニーのものは各画素でRGBの色情報を取り込むことでモアレや偽色の抑制を狙っているのに対し、DC-G9のハイレゾモードは文字通り高画素の画像を得ることが目的ですので、目指している方向は異なっています。

 マイクロフォーサーズは、相対的にイメージセンサーのサイズが小さいため、高画素化という点ではフルサイズ機やAPS-C機に一歩譲らざるを得ませんので、こうした手法は弱点をうまく補っていると思います。

6.5段相当の強力な手ぶれ補正を内蔵

ボディ単体で6.5段分

 G9では、手ぶれ補正機能も強化されています。

 G8やGH5では、最大5段分の手ぶれ補正機能を内蔵していましたが、G9では6.5段分へと1段半強化されています。

 これまではジャイロセンサーからの情報で手ぶれ補正機構を動かしていましたが、G9ではジャイロセンサーに加えて、イメージセンサーからは「動きベクトル情報」を、加速度センサーからは「加速度情報」を取得し、手ぶれ補正の制度を高めています。

望遠側でも機能する手ぶれ補正

 ボディ内手ぶれ補正方式の原理的な弱点は、レンズ補正方式と比べると、望遠域での手ぶれ補正効果が弱いという点です。

 そのため、より手ぶれ補正機能が必要な望遠撮影では、逆に手ぶれがしやすくなるという課題がありました。

 G8やGH5でも採用された「Dual I.S.2」では、レンズ内に手ぶれ補正機能を搭載したレンズを使うことで、ボディ側手ぶれ補正とレンズ側手ぶれ補正を連動させることで、G9では望遠側でも6.5段の手ぶれ補正効果を実現しています。 

世界最速のオートフォーカス

GHよりも高速化されたAF

 マイクロフォーサーズ機は、これまでも比較的高速なオートフォーカスを搭載していましたが、DC-G9ではさらに強化されています。

 DFD(Depth From Defocus:空間認識)技術により、ピント位置の異なる複数のライブ画像情報から被写体までの距離情報を高速に算出できるため、素早い合焦が可能です。

 DC-G9ではさらに高速化されており、DMC-G8の0.07秒、DC-GH5の0.05秒に対し、0.04秒を実現しています。

顔認識だけでなく人物認識によるAF追従に対応

 他社においても、顔認識AFや瞳認識AFは搭載されてきましたが、人体の全身像などではなかなか人物の認証ができませんでした。

 DC-G9では、被写体の中の人物を認識することが可能なので、AF性能の使い勝手が向上しています。

強力な連写機能

20コマ/秒でのAF追従連写が可能

 DMC-G8では、メカシャッター時では9コマ/秒、電子シャッター時では40コマ/秒での連写ができましたが、オートフォーカス追従モードでは6コマ/秒までの連写にとどまっていました。

 DH-GH5では、メカシャッター時に12コマ/秒の連写ができましたが、やはりオートフォーカス追従モードでは9コマ/秒が上限でした。

 DMC-G9では、メカシャッター時はGH5と同じ12コマ/秒までの連写ですが、電子シャッター時には60コマ/秒での連写が可能であり、AF追従モードでも最高20コマ/秒で連写ができるようになりました。

 60コマ/秒の連写時でも、RAW+JPEGで50コマまでの連続撮影が可能です。

プリ連写にも対応

 「プリ連写」もDC-G9に搭載された新機能です。

 これは、シャッターボタンを押す前についても、最大で24コマ分記録をする機能です。

 素早く動く被写体の撮影では、どうしてもシャッターボタンを押すまでにタイムラグが発生するため、それも予測しての撮影が必要でした。

 「プリ連写」により、シャッターボタンを押す前の画像も記録されるため、決定的シーンの撮影チャンスが増します。

大型電子ビューファインダーを搭載

 電子ビューファインダーも、DMC-G8から大型化され、GH5と同等のものが搭載されています。

 パネル自体は、どちらも0.5型368万ドットの有機ELですが、表示倍率が拡大されており、GH5では35mm版換算で0.78倍だったものが、G9では0.83倍へと大型表示となっています。

 G9では、ファインダー倍率は約0.83倍、約0.77倍、約0.7倍の3段階で切り替えることもできます。

 また、表示速度も高速化されており、GH5の0.01秒に対してG9では0.005秒となっており、電子ビューファインダーの弱点である「タイムラグ」もほぼ解消したと言えそうです。 

液晶パネルを搭載

Panasonic LUMIX DC-G9 ステータスLCD

Panasonic LUMIX DC-G9 ステータスLCD

 G9ならではの機能が「ステータスLCD」の搭載です。

 フラグシップのDC-GH5にも搭載されていませんでしたが、カメラの設定状況を一目で確認できるため、撮影スタイルによっては無くてはならない装備だと思います。

 装着しているレンズのF値やシャッタースピード、ホワイトバランスや露出補正などの撮影設定情報だけでなく、静止画の記録残数や動画の記録可能時間、本体やバッテリーグリップのバッテリー残量なども表示されますので、電子ビューファインダーや液晶モニターには被写体だけを表示させるといった撮影スタイルでも、ストレス無く使うことができます。

 バックライトのスイッチはありませんが、明るさを2段階で設定することができるようになっています。

強化された液晶モニター

タッチ対応のフリーアングルモニター

 液晶モニター自体は、基本的にDMC-G8と同じで、3型104万ドットのパネルが採用されています。アスペクト比は3:2となります。

 左側の2軸可動方式で、タッチ操作にも対応しています。

 なお、DC-GH5では3.2型162万ドットのパネルですので、G9の方が一回り小さくなります。

ナイトモードの搭載

DH-G9 ナイトモード表示

DH-G9 ナイトモード表示

 DC-G9の新機能として、「ナイトモード」があります。

 たとえば天体撮影など、暗所で長時間撮影するときに使うことで、液晶モニターを見ても瞳孔が開くことを抑制することができます。

 液晶モニターだけでなく、ファインダーもナイトモードに対応しており、各々別々に設定することができます。

 上記の写真は設定画面ですが、ライブニュー表示でもナイトモード表示となります。

タフボディ

防塵防滴ボディ

 ボディの外殻はマグネシウム合金で形成されており、接合部や操作部にはシーリングもされているので、堅牢性と防塵・防滴性能をもっています。

 DC-GH5と同様に、マイナス10°Cの環境でも撮影が可能となっています。

 メカニカルシャッター部も20万回の耐久性を持つように設計されており、このあたりもDC-GH5と同等となっています。

SDダブルスロット

 DMC-G8ではシングルスロットでしたが、DC-G9ではDC-GH5と同様にダブルSDカードスロットを搭載しました。

 書き込み方式は、SD1スロットが一杯になったら自動的にSD2スロットに切り替える「順次(リレー)記録」、両方のSDカードに同じ内容を書き込む「バックアップ(サイマル)記録」、JPEGやRAWなど、ファイル内容によって書き分ける「振り分け記録」に対応しており、柔軟な運用が可能となっています。

USB充電に対応

 DC-G9ではUSB経由でのボディ内充電にも対応しています。

 エントリークラスのミラーレスやコンパクトカメラでは多く見られますが、フラグシップ機でUSB充電に対応しているのは、極めて珍しいと思います。

 給電しながらの撮影も可能のため、モバイルバッテリーを接続して長時間の撮影を行うこともできます。

60pの4K動画撮影

 動画性能もG8から進化しています。

 DMC-G8でも4K動画撮影に対応していましたが、フレームレートは最高で30pまでとなっていました。

 DC-G9では60pでの4K動画撮影が可能となりましたので、激しく動く被写体であってもコマ落ちが少なく自然な姿を記録することができます。

 なお、DC-GH5では4096×2160での動画撮影にも対応しており、4K 4:2:2 10bitでの記録も可能であるなど、プロの映像撮影現場での使用も想定していますので、このあたりはDC-G9と差別化が図られていると言えます。

Wi-FiとBluetoothを搭載

 最近のミラーレスではWi-Fiは標準搭載となっていますが、Bluetoothについては一部機種にとどまっています。

 DMC-G8ではBluetoothは搭載されていませんが、DC-G9ではGH5と同様にBluetoothも内蔵されています。

 Bluetoothは4.2(BLE:Bluetooth Low Energy)となっているため、低電力でカメラ本体と常時接続しておくことも可能です。




DMC-G8からどう進化したか?

  • 有効1600万画素から有効2033万画素へと高画素化。(GH5と同等)
  • 8000万画素相当のハイレゾモードを搭載。
  • 連写性能、連続撮影枚数もアップ。
  • プリ連写機能を搭載。
  • 読み出し速度の高速化によるローリングシャッター現象の軽減化。(GH5と同等)
  • メカニカルシャッター、電子シャッターとも高速化。
  • オートフォーカスの高速化
  • ぶれ補正機能は最大5段分から6.5段分へと強化。
  • 4K 60pでの動画撮影に対応。
  • Bluetooth4.2(BLE)を搭載。(GH5と同等)
  • 液晶モニター(ステータスLCD)を搭載。
  • ジョイスティックの新設とファンクションボタンの増設。
  • 電子ビューファインダーの大型化と高精細化。
  • ダブルSDスロットを搭載。(GH5と同等)
  • 内蔵フラッシュは非搭載に。




DC-GH5との違いは?

DC-G9 DC-GH5
イメージセンサー 4/3型Live MOS センサー
総画素数2177万画素/有効2033万画素
ARコーティング
画像処理エンジン ヴィーナスエンジン
ハイレゾリューションモード
ISO感度 標準100-25600
手ぶれ補正 6.5段 5段
オートフォーカス速度 0.04秒 0.05秒
シャッター 60-1/8000秒(メカニカル)
1-1/32000秒(電子)
60-1/8000秒(メカニカル)
1-1/16000秒(電子)
ファインダー 0.5型368万ドット
0.83倍
0.5型368万ドット
0.78倍
液晶モニター 3.0型
可動式104万ドット
静電容量方式タッチパネル
3.2型
可動式162万ドット
静電容量方式タッチパネル
記録動画 最大4K(3840×2160)
60p
最大4K(3840×2160)
60p
シネマ4Kにも対応
連写性能
(RAW+JPEG)
12.0コマ/秒で約60コマ
60.0コマ/秒で約50コマ
12.0コマ/秒で約60コマ
内蔵フラッシュ
液晶パネル
防塵防滴性能
電池 DMW-BLF19
約380枚
DMW-BLF19
約410枚
大きさ(mm)
幅x高さx奥行
136.9×97.3×91.6 138.5×98.1×87.4
重さ
電池・カード含む
約658g 約725g




DC-G9の評価

独断! 素晴らしい!

  • マイクロフォーサーズ機ではトップクラスの描写性能。
  • 比較的小型なイメージセンサーの弱点を補完するハイレゾリューションモードを搭載。
  • フラグシップ機にふさわしい連写性能と連続撮影枚数。
  • ミラーレスカメラでは最速のオートフォーカス。
  • さらに強化された手ぶれ補正機能。
  • 過酷な撮影環境に耐えるタフネスボディ。
  • 液晶パネルを搭載。
  • しっかりとしたホールディングを可能とする大型グリップ。
  • 大型で高精細の電子ビューファインダー。
  • Wi-FiやBluetooth4.2など、豊富なインターフェース。

独断! もう一息!

  • イメージセンサーサイズと比べ、大型で重量感のあるボディ。
  • 内蔵フラッシュは省略。(フラグシップとしては一般的。)
  • 液晶パネルにバックライトスイッチがないなど、細かい部分での仕上げ感。
  • 高価な価格設定。(フラグシップとしては安い?)