ソニーのカメラとレンズ計画:光学部門インタビュー

 ソニーの情報サイト、SONY α Rumorsに掲載されていた、ソニー光学部門のインタビュー記事です。もともとは、フランスのニュースサイト、Focus NUMERIQUEに掲載されていた記事で、粗訳を記載します。

 内容は、AマウントカメラやAPS-Cサイズのイメージセンサーへの対応など、基本的なスタンスについてのものですが、ソニーとして光学製品部門に対して、どのように取り組んでいくつもりなのかが示されています。




ソニーインタビュー at 品川

 9時30分、品川。地下鉄から出てくる労働者の流れが東京のビジネス街へと続いています。男性の白いシャツ、女性の濃いシャツ。話し声はなく、地面にあたる足音だけが朝のテンポを響かせています。誰もが同じペースで歩いており、ペースを乱すことはできません。人々の流れが私たちを乗せ、時間通りに駅からソニービルへと連れて行ってくれました。ここで、ソニーのデジタルイメージング部門の上級幹部とお会いすることになっていました。

 大きな会議室の居心地の良い雰囲気の中で、田中健二さん(ILCビジネスユニット長)、永田さん(光学部門長)、坂本さん(ILCマーケティングディレクター)とのインタビューができました。Aマウントの未来、APS-Cカメラ、湾曲センサー、東京オリンピックのための光学系の開発など、さまざまなテーマについて伺うことができました。

Q:ここ数年のソニーの取り組みは、Eマウントの開発に焦点を当てているようですが、AマウントとAマウントの将来はどうですか? α99 Mark IIは写真を撮るのに最適なマシンですが、プロの写真家はおそらく、ファインダーでの見え方が十分ではないのではないかと躊躇しています。

A:今回のインタビューで新製品についてお話しすることはできませんが、Aマウントでもカメラ本体とレンズの開発を続けていくつもりです。

 このカテゴリーは私たちにとって重要であり、特殊な機能を持ったトランスペアレントミラーなどのユニークな技術を特長としています。

 さらに、Aマウントにも利点があります。これは、古いミノルタレンズを含め既存の豊富なレンズ資産があります。

 我々は、カメラ本体とレンズの両方で、EマウントとAマウントの開発を並行して進めています

 近年では、より多くのEマウントレンズをリリースしています。Eマウントはまだまだ新しいため、ラインアップの差が大きいからです。先日は、プロを含めユーザーからの要望が高かった16-35 mm、24-70 mm、70-200 mm F2.8の大三元もリリースしました。

Q:α99 Mark IIは商業的に成功していますか?

A:特定のモデルの販売についてはコメントできません。とはいえ、α99 IIは世界中でかなり受け入れられているということは、お伝えできます。




Q:2020年のオリンピックが東京で開催されます。ソニーの技術革新とすべてのノウハウを提示する重要な場となるでしょう。いくつか新製品を発表しますか?

A:9月15日にIBC (International Broadcasting Convention) でUHC-8300カメラを発表しました。これは、3つの1.25型センサーを搭載した最初の8Kカメラであるため、すでに8Kレコーディングの世界に対応しています。

Q:高度なビデオ機能は、最新のソニーのカメラの特長です。プロフェッショナルは常にFSやCine Altaのような特定のモデルを持っています。しかし、年々、プロとアマチュアの差は小さくなっています。特に、スマートフォンやタブレットではビデオコンテンツの視聴が増えています。アマチュアとプロフェッショナルのための製品分野は1つだけですか? どのようにして2つの世界を差別化しようとしていますか?

A:私たちはEマウントがビデオ分野にとってはるかに可能性があると信じています。アダプターでさまざまな種類の光学機器を使用できますが、一般的に、オートフォーカスはビデオにとってあまり重要ではありません。Aマウントはむしろ写真撮影を目的としています。

 あなたが指摘されたように、ビデオ市場では、特に一般ユーザー分野は縮小しています。私たちは幸運にも、プロフェッショナルなビデオ部門の研究開発の恩恵を受けて、最高水準の品質を提供することができます。ソニーがビデオを通じて市場を拡大することは重要であり、RX0はその典型的な事例です。

Q:顧客はおそらく、毎年のように行われるモデル更新が早すぎると、少し不満を抱いているのではないでしょうか?

A:実際に私たちは、競合他社よりも速いペースでモデルを更新しています。それは、私たちがチャレンジャーであるためですし、より多くの技術を示し、市場を刺激して新しい顧客に関心を持ってもらう必要があるためです。私たちのノウハウと可能性を示すことが重要です。

 加えて、当社の製品は、各リニューアル時に市場から消えません。私たちは、3、4、または5年前の製品も販売しています。おそらく、最新のモデルを持っていないということを気にされている顧客がいるかもしれませんが、私たちは、新製品投入を迅速に進めることを重視しています。

Q:キヤノンやニコンのようなメーカーは、アフターサービスの質の高さがプロによって評価されています。ソニーも世界中にこうしたサービスネットワークを構築しますか?

A:2014年以降、こうしたアフターサービスを世界中に展開しています。2014年には、米国、日本、台湾、香港でサービスを開始しました。現在は、14カ国でアフターサービスを提供しています。ヨーロッパでは、ドイツで初めてプロサービスを提供しました。オーストリア、スイス、イングランド、オランダにネットワークを持っています。もちろん、私たちはプロフェッショナルのためのサポートサービスを強化し続けます( 注:フランスではまだプログラムを提供していません)。

 プロサポートについては、オリンピックのような主要なスポーツイベントのサポートも重要です。ロンドンでは技術サポートを提供しました。徐々に、私たちはそうしたインフラを整えたいと考えています。α9では、プロの写真家のための質の高い技術サービスを確保する必要があることを十分に認識しています。ソニーはプロが求めるサービスを重視していかなければなりません。




Q:一部のアナリストは、スマートフォンはコンパクトカメラ市場を淘汰しただけでなく、今後はエントリーレベルのミラーレス市場をも浸食すると考えています。あなたはどう思いますか? ユーザーはスマートフォンよりも良い画質を必要としないのでしょうか?

A:何年もの間、コンパクトカメラ市場が消えていくと言われてきました。しかし、まだコンパクトカメラは存在しています!

 ソニーは世界有数のセンサーメーカーであり、私たちはスマートフォンのデザイナーでもあるため、写真撮影におけるスマートフォンの限界をよく理解しています。

 市場は年々縮小していますが、1型センサーのコンパクトなものや、高倍率ズームを備えたものなど、付加価値の高い市場を構築する戦略でおります。

Q:現在、ソニー独自のL16と16個のセンサーを含む、ソフトウェアイメージ処理に関する多くの研究が行われています。この発展の方向性についてどう思いますか?

A:はい、ソフトウェア画像処理技術の開発にも取り組んでいます。私たちはこの分野に自信がありますが、まだ具体的な計画はありません。つまり、この分野を非常に注意深く見ている状況です。

Q:ソニーは、ハッセルブラッド、富士フイルム、フェースワンの中判カメラ用イメージセンサーを製造しています。ソニーも中判カメラをリリースする計画はありますか?富士フイルムは、貴社のDNAにある、コンパクトで軽量な中版フォーマットを提供することが可能であることを示しました。

A:将来のモデルについてお話しはできませんが、すべてのセンサーサイズを視野に入れています。ご存知のように、我々はセンサーを製造する工場を持っており、初期段階では開発チームと協力しています。

 中版のフォーマットを設計すること自体は容易ですが、新しいカメラ本体、新しい光学系を製造する必要があります。これは、私たちが今行うべきものではないと考えています。




Q:ソニースクエア(開発中の製品のショールーム)を訪問しましたが、写真部門は見ませんでした。ソニーの写真撮影のビジョンは何ですか?

A:写真はソニーのイメージ部門の一部に過ぎず、ビデオもまた重要です。私たちはカメラを通してユーザーに感情を伝えたいと思っています。あなたは既にすべての製品を知っているので、写真部門を見なかったのでしょう。

Q:先日、100-400mmレンズをリリースするなど、ラインアップは充実されてきていますが、それでも例えば一部のプロが望むようなキヤノンの85mmF1.2など、貴社にはないレンズもあります。これらのレンズについて、どのように対応されるのですか?

A:私たちは多くのプロの要求を満たすことを優先してきました。だから私たちは、彼らが期待するようなラインアップを整えてきました。他の製品については、お話しすることができません。

Q:ソニーは定期的にカメラのアップデートを行っていないように思いますが、今後は変わりますか?

A:カメラ本体の更新は行っています。先週、我々はα9用の新しいファームウェアを提案しましたし、それが顧客にとって重要であることも認識しています。しかし、顧客は現在の製品を見て購入を決めており、将来の可能性に期待して買うのではないと思っています。

Q:曲面センサーと3層センサーの特許を見てきました。これらをどのように活用されるのですか?

A:これらの技術はセンサー部門の責任で行っており、私たちは詳細情報を持っていません。しかし、曲面センサーは固定焦点距離では良好に機能しますが、ズームではうまく機能しません。実現するのは本当に複雑です。今のところ、このタイプのセンサーを量産する計画はありません。

 多層センサーに関しても、何もお話しすることはできません。私たちはすぐに製品化するわけではない技術を開発するチームを持てることができて幸運です。これにより、特定のケースでセンサーを開発することが可能になります。たとえば、ビデオに適したα7Sの12MP フルサイズセンサを開発しました。この多層センサを活用できるような製品が見つかったら、それを実装できます。

Q:ソニースクエアでは、QXモジュールを搭載したドローンを見ました。この製品ラインアップはどのようになっていますか?

A:QXの将来については何も言うことができません。しかし、RX0はおそらく、スマートフォンに加えて小さなカメラを所有したいフォトグラファーやビデオ撮影者にとっては素晴らしい答えです。

Q:あなたのカメラで画像を暗号化するオプションがありますか?

A:私たちはすでにこの要望を聞いており、ジャーナリストが求めていることも知っています。しかし、一般の人々にとっては、まだそういう状況には至っていません。もう少し時間が必要です。




Q:私たちは、APS-Cサイズについて、ソニーは重視していないという印象を持っています。これらのユーザーを安心させることができますか?

A:私たちはAPS-Cサイズのために多くの仕事をしています。これまで述べたように、現時点ではフルサイズのEマウントが最優先です。100x400mmをフルサイズフォーマットで利用できるようになったので、次はAPS-Cサイズのカメラを持った人々が同等のズームに興味があると考えています。ここでも、何も言えませんが、APS-Cのラインアップも徐々に拡大することを保証することができます。

Q:GマスターでもAPS-Cサイズ用のレンズを期待できますか?

A:今は何も言えませんが、一般的にGマスターの光学系は主にフルサイズのために用意されています。とはいえ、優れた光学製品を生産することができれば、Gマスターブランドを持つことができます。

Q:それでもAPS-Cでは、富士フイルムと比べて、広角側が欠けていませんか?

A:富士フイルムはAPS-Cフォーマットしかないので、対応は簡単です。私たちは、フルサイズフォーマットも開発する必要があります。徐々に、プロフェッショナルな光学系を使用してAPS-Cの光学範囲を開発しますが、より買いやすいモデルも開発します。

 私たちは実際にAPS-Cフォーマットへの関心を強く持っています。単にフルサイズのためのステップではなく、私たちにとって重要なフォーマットです。

Q:来年、ソニーの最大の挑戦は何ですか?

A:レンズについては「明るさ」です。しかし、全体として、私たちの最大の課題は、αのターゲットを拡大することです。α9では、今日、スポーツ写真家について触れましたが、ユーザーを拡大する必要があります。

Q:より安価に提供するために、電子ビューファインダーなしのフルサイズのカメラをリリースする予定はありますか?

A:今のところこのタイプの計画はありません。もちろん、電子ビューファインダーがなければ、価格は低くなるとともに、ボディのサイズの面でも有利です。