淘汰か再編か? デジカメ業界の行く手

 「成長するミラーレス市場、縮小するデジタル一眼レフ市場」では、CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)の統計数値をもとに、レンズ交換式カメラ市場の動向について見てみました。

 CIPAでは、フィルム時代からの統計数値も公表しており、1999年から今日までのカメラ市場の動向もわかります。

 今回は、CIPAの統計データに基づき、厳しさを増すデジカメ市場の動向について、見てみたいと思います。




収縮するデジカメ市場

カメラ出荷台数の推移

カメラ出荷台数の推移

 このグラフは、1977年から2016年までのカメラ出荷台数の推移を示したものです。

 フィルム時代、カメラ出荷台数は1977年の917万台から徐々に伸び、1997年には3,667万台のピークを迎えました。

 1999年、統計数値上にデジタルカメラが現れると、市場全体を押し上げていきます。

 2008年には、一気に1億2千万台へと約10年で3倍以上にも成長しました。

 しかし、2010年に1億2,146万台のピークを迎えた後は、スマートフォンの普及によりレンズ一体型カメラ市場が急減し、2016年はトータルでも2,419万台へと減少しました。

 ちなみに、1989年の出荷台数は2,568万台でしたので、すでにフィルム全盛期よりもさらに出荷台数が落ち込んでいることがわかります。




市場を支える高付加価値モデル

カメラ出荷金額の推移

カメラ出荷金額の推移

 フィルムからデジタルへ移行する中で、爆発的に拡大したカメラ市場も急速に収縮しつつあり、すでに台数ベースではフィルム時代の出荷台数と同等レベルにまで低下しています。

 このグラフは、出荷金額ベースで推移を見たものですが、金額で見ても概ね同じ傾向を示していることがわかります。

 しかし、詳細を見ると、台数ベースではフィルム時代をすでに下回っているにも関わらず、金額ベースでは2016年でも7,100億円を超えており、フィルム時代のピーク値よりも2倍近いレベルを保っています。

 出荷台数が急減しているにも関わらず、出荷金額が比較的ゆるやかな低下にとどまっているのは、デジタルカメラが高付加価値モデルへとシフトしていることによります。




デジカメ業界で淘汰・再編が始まる?

 出荷台数、出荷金額のどちらを見ても、レンズ交換式カメラを中心とした高付加価値モデルが市場全体を支えています。

 その意味では、今まで以上に、レンズ交換式カメラの開発力や販売力の強化が問われており、とくに現在のメインプレイヤーであるオリンパス、キヤノン、シグマ、ソニー、ニコン、パナソニック、富士フイルム、ペンタックス(リコー)が、どのような方向性を示すのかが注目されます。

 既存の資産を見直し、淘汰・再編を視野に入れた大胆な取組がまさに問われていますが、その成否の鍵を握っているのが、ミラーレスカメラであると思います。

とくにアジア市場で存在感を高めるミラーレス

とくにアジア市場で存在感を高めるミラーレス

 このグラフは、2016年の市場別販売金額を示したものです。

 前回、レンズ交換式カメラ市場全体では、デジタル一眼レフが縮小しているのに対し、ミラーレスはまだ成長が続いていることをみてきました。

 市場別に見ると、とくに大きな成長が期待されるアジア市場において、ミラーレスカメラの存在感が急速に拡大していることを示しています。

 言い換えれば、高付加価値モデルの中でも、ミラーレス市場の成長をどのように進めていくのかが、デジカメ市場全体の動向を決めると言うことだと思います。

 これまで、ミラーレスカメラに対しては、やや抑制的に動いてきたキヤノンや、新たなレンズマウントによるフルサイズ対応ミラーレスを準備しているニコンを含め、カメラ市場をリードしてきたメーカー各社の取組が問われています。