キヤノン EOS M100 ハイエンド・エントリー機の登場

Canon EOS M100
Canon EOS M100

 8月29日に正式発表されたキヤノンの新型ミラーレス EOS M100の発売も、いよいよ近づいてきました。(追記:発売日が10月5日に決定しました。2017年9月26日)

 EOS M100は、Mシリーズ初の3桁台の製品となっており、位置づけとしては2015年10月に発売開始となったエントリー機EOS M10の後継機です。

 とはいえ、EOS M100は、上級機であるEOS M5やEOS M6と同様の描写性能を持っているだけでなく、オートフォーカスや連写性能などの機能面でも、大幅に強化されています。

 まさに、「ハイエンド・エントリー機」ともいうべきカメラに仕上がっています。

EOS M100の進化ポイント

 まずはじめに、EOS M100はM10からどのように進化したのか、ポイントを中心に見ていきたいと思います。




ポイント1:大幅に向上した描写性能

 イメージセンサーは、EOS M5やM6と同じで、総画素数2580万画素、有効画素数2420万画素のCMOSセンサーが搭載されています。EOS M10は総画素数1850万画素、有効画素数1800万画素でしたので、有効画素数は1/3増となっています。ちなみに、このイメージセンサーは、キヤノンのエントリークラス・デジタル一眼レフ、EOS 9000D、EOS KissX9i、EOS KissX9に搭載されているものと同じです。

 画像処理エンジンも、EOS M10の「DIGIC6」から、「DIGIC7」へと進化しています。画像を処理する能力が大幅にアップしており、細部のディテールや階調の豊かさが増しています。高感度性能も向上しており、EOS M10では拡張で対応していたISO25600に、標準設定で対応するように設定されています。

 レンズの光学補正機能も強化され、これまでは「周辺光量補正」「色収差補正」のみの対応だったものが、新たに「回折補正」も設定できるようになりました。回折現象とは、レンズを一定以上絞り込むと逆に鮮明度が失われていく現象で、回折補正機能により、とくにちょっと暗めのレンズでも鮮明な描写を得られやすくなります。 

 また、動画撮影についても、これまでのフルHD(1920×1080)時最高30pから、最高60pの撮影も可能となりましたので、よりなめらかな動画が撮影できます。

 EOS M100では、最近のトレンドを踏まえて、タイムラプス撮影機能も搭載されました。

ポイント2:ボディ内手ぶれ補正機能を搭載

 キヤノンのミラーレスカメラは、ボディ側に手ぶれ補正機能は搭載していなかったため、レンズ側で対応してきました。

 EOS M5では、動画撮影時の電子的補正ではあるものの、はじめて手ぶれ補正機能が搭載され、水平回転軸、縦回転軸、回転軸、左右、上下の5軸補正に対応しました。

 EOS M100では、動画撮影時のみに限定されますが、IS対応レンズ使用時であれば、レンズ側の水平回転軸補正、縦回転軸補正に、ボディ側の回転軸補正を合わせた3軸補正が可能です。

 さらに、「EF-M 18-150mm F3.5-6.3 IS STM」や「EF-M 15-45mm F3.5-6.3 IS STM」のように、コンビネーションIS対応レンズであれば、レンズ側とボディ側の両方の手ぶれ補正機能を連動させることで、さらに補正量を拡大できます。

ポイント3:強化されたオートフォーカス

 オートフォーカス機能が強化されたことも、EOS M100の重要な進化ポイントです。

 EOS M10では、「ハイブリッドCMOS AFII」が搭載されていました。これは、従来のコントラスト・オートフォーカスに像面位相差オートフォーカスを組み合わせたもので、オートフォーカスが高速化されました。

 EOS M100では、イメージセンサー上にデュアルピクセルを埋め込んだ「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載しており、高速な像面位相差オートフォーカスのみで合焦させることができるようになりました。

 オートフォーカスが動作する明るさも、M10ではEV1~18でしたが、EOS M100ではEV-1~18へと拡がりましたので、さらに1段分暗い撮影環境でも、オートフォーカスを使った撮影が可能です。




ポイント4:連写性能も大幅にアップ

 連写性能もM10から大幅に強化されています。

 EOS M10では、通常の連写時で4.6コマ/秒だったものが、EOS M100では6.1コマ/秒へと進化しています。オートフォーカスを働かせながらの連写性能(サーボAF)も、2.2コマ/秒から4.0コマ/秒へと大幅にアップしています。

 同時に、M100ではバッファー容量も拡大され、画素数が増えたにも関わらず連続撮影可能枚数がアップしています。

 EOS M10では、画質を「RAW+JPEG」に設定すると、4枚までしか連続して撮影できませんでしたので、他機種と比べてかなり見劣りがしていました。これがM100では、「RAW+JPEG」でも19枚の連続撮影が可能となりましたので、使い勝手がかなり向上したと思います。

 なお、EOS M100では、バルブ撮影もできるようになりました。撮影スタイルによっては必須な機能ですので、これで対応できる撮影シーンがさらに拡がったと思います。

ポイント5:スマートフォン連携も強化

 EOS M100には、Wi-Fi、NFCに加えて、Bluetoothも搭載しています。

 Wi-Fi機能は、メーカーごとに異なる部分があり、アプリケーションの機能によってできることが違っています。

 キヤノンのEOS M100では、撮影した画像をスマートフォン等に転送したり、直接FacebookやInstagramなどのSNSへ投稿したりすることができるだけでなく、スマートフォンをリモコンとしてカメラ操作も可能です。

 とくにEOS M100のBluetoothは「Bluetooth low energy technology」に対応しているため、カメラの電源をOFFにしたままでもスマートフォンと接続できます。

ポイント6:エントリーユーザー向けのインターフェース

Canon EOS M100 モードダイヤル
Canon EOS M100 モードダイヤル
 描画性能や機能については、上級機であるEOS M5やEOS M6と同等となっていますが、操作部分のインターフェースはEOS M10を踏襲しています。

 ボディ上部にあるモードダイヤルを見ても、EOS M6やEOS M3では「P(プログラム)Tv(シャッター速度優先)Av(絞り優先)M(マニュアル)」などの設定もありますが、EOS M100ではダイヤル上はシンプル化されており、P/Tv/Av/Mの設定を変えるには液晶画面での操作が必要となっています。

 ボディ背面側のインターフェースも集約されていますので、このあたりはスマートフォンやコンパクトカメラからのステップアップユーザーを想定しているのだと思います。




EOS M6と同じ点、違う点

Canon EOS M6
Canon EOS M6
 EOS M100の購入を検討されている方は、やはり上級機種であるEOS M6との比較もされていると思います。

 EOS M6は、EOS M100よりも、やや大きく、重くなっていますが、その原因はしっかりとしたグリップ部の有無によるものですので、ボディ自体のサイズはほぼ同等といっても良いと思います。

 カメラとしての基本的な機能はほぼ同じですので、操作性の部分や電子ビューファインダーなどのオプションへの対応状況、価格面の違いをどう評価し、選択するのかということになってきます。 

描写性能は?

 両機種とも、搭載している撮像素子は有効2420万画素CMOSセンサーで、画像処理エンジンもDIGIC7と同じです。同じレンズを使用すれば、得られる画像は基本的には同じものとなります。

 細かいところでは、たとえばEOS M100では動画撮影時のボディ側電子的手ぶれ補正機能が水平回転軸、縦回転軸、回転軸の3軸対応であるのに対し、EOS M6では左右、上下を加えた5軸対応になっていること、IS非対応のレンズでも電子的手ぶれ補正機能が有効であることなどの違いがあります。

オートフォーカス機能は?

 オートフォーカス性能も、基本的には同等です。どちらの機種も、イメージセンサー上に設けられた像面位相差素子を使った高速な「デュアルピクセルCMOSオートフォーカス」が可能です。

 ちなみに、この「デュアルピクセルCMOS AF」は、キヤノンのハイエンド・デジタル一眼レフであるEOS-1D X Mark IIにも採用されています。

 EOS Mシリーズの一番の弱点は、やはりオートフォーカスの使用感でしたので、このあたりはEOS M3やEOS M10と比べると大きなアドバンテージになってきます。

連写性能は?

 連写性能は、両機種で異なっており、一つの選択ポイントとなります。

 通常時の連写性能は、EOS M6が9.0コマ/秒であるのに対し、EOS M100では6.1コマ/秒になります。

 動きのある被写体に追従させるサーボAFでは、EOS M6が7.0コマ/秒であるのに対し、EOS M100では4.0コマ/秒となります。

 ただし、連写性能が早い分、連続撮影可能枚数はEOS M100の方が僅かながら多くなっています。

 描写性能を重視する場合、RAW+JPEGで撮影することが多いと思いますが、この場合、EOS M6では16枚なのが、EOS M100では19枚まで撮影可能となっています。

 なお、EOS M6には最高4.0コマ/秒の低速連続撮影モードもありますので、このモードに設定すれば、連続撮影枚数はEOS M100と同等以上になると思います。

操作性は?

Canon EOS M6 モードダイヤル
Canon EOS M6 モードダイヤル
 操作性は、EOS M6はダイヤル等による直接的な操作を重視しているのに対し、EOS M100では物理的なダイヤル等は極力シンプル化し、細かい設定は液晶画面を使ったメニューで行うインターフェースとなっています。

 たとえば、上の写真はEOS M6ボディ正面にあるモードダイヤルですが、「P(プログラム)Tv(シャッター速度優先)Av(絞り優先)M(マニュアル)」などの撮影モードを直接設定することができます。また、その右には露出補正ダイヤルがあり、モニターや電子ビューファインダーで被写体を確認しながら露出補正をかけることができます。

 デジタルカメラでは、実際の仕上がりを確認しながら撮影が可能ですので、こうした露出補正ダイヤルなどの機能は、フィルムカメラ以上に多用されていると思います。

液晶モニターは?

 液晶モニターのパネル自体は、どちらも同じものが搭載されています。アスペクト比は3:2で104万ドット、タッチ操作にも対応したパネルとなっています。

 異なるのは可動範囲で、EOS M100では液晶モニター上部に可動軸をもっているため、上側に180°可動させることはできるものの、下側に向けることはできません。そのため、液晶モニターを頭の上に掲げて前方を撮影するなどには不向きで、もしそうした撮影をするのであれば、カメラ自体を上下反転させるなどが必要になってきます。

 これに対し、EOS M6では、下側に動く可動軸もあるため、45°までに限定されるものの、下向きに液晶モニターを傾けることができるようになっています。

対応アクセサリーは?

Canon EOS M6 電子ビューファインダー装着時
電子ビューファインダーを装着したEOS M6
 両機種での一番の違いは、電子ビューファインダーへの対応状況です。

 EOS M6のボディ正面にはアクセサリーシューが設けられており、ここにオプションの電子ビューファインダーEVF-DC2を装着することができます。EVF-DC2を単体で購入すると実売価格でも2万円前後となりますが、236万ドットの有機ELパネルを搭載しており、電子ビューファインダーとしてはトップレベルの見え方となっています。

 電子ビューファインダーを装着すると、とくに望遠系のズームレンズなどを使う場合や、日中の屋外などでは、より撮影がしやすくなると思います。




EOS M100の値頃感は?

 EOS M100の発売開始も近くなり、ネットショップなどでも予約を受け付けています。

 発売時点での実売価格は、ボディ単体で5万円台前半、EF-M15-45mmの標準ズームレンズのついたキットでは、6万円台後半、レンズキットにEF-M22mmの単焦点レンズをセットにしたダブルレンズキットで8万円弱、レンズキットにEF-M55-200mmの望遠ズームをセットにしたダブルズームキットで9万円弱となっています。

 現時点での価格で比較すると、同一構成のEOS M6よりも2~3万円程度安価であり、逆にEOS m10よりは2~3万円程度高価になっています。

 なお、2015年10月の発売開始時点におけるEOS 10の価格は、EOS M100と比べ5千円から1万円程度安価でしたので、このあたりも選択のポイントになるかもしれません。

EOS M100の総合評価

独断! 素晴らしい!

  • デジタル一眼レフと同等な高い描写性能
  • 大幅に向上したオートフォーカス性能。
  • EOS Mシリーズの中で一番コンパクトなボディ。
  • カラーバリエーションやフェイスジャケットなどデザイン性に富んだカメラ本体。
  • 実用上十分な連写性能連続撮影可能枚数
  • 使い勝手の良いスマートフォン連携機能。
  • EFシリーズのレンズであれば全機能が利用可能。

独断! もう一息!

  • 電子ビューファインダーには非対応。(製品コンセプトでもあります。)
  • 液晶モニターは上側にのみ可動。(自分撮りには対応。)
  • EOS Mシリーズの中では高速化されたものの、あと一息のオートフォーカス
  • EF-M専用レンズのラインアップ強化が急務。