一つのモデルケースともいうべきソニーの戦略

デジタル一眼レフからミラーレスカメラへの移行では、カメラメーカーによってアプローチが大きく異なっています。

ニコンやキヤノンのように、フィルム一眼レフからスムーズにデジタル一眼レフへの移行を果たし、システムとしての膨大な資産を持っているカメラメーカーが採る戦略と、パナソニックやオリンパス、富士フイルムのように、レンズ交換式デジタルカメラ市場に新たに参入した企業(事実上、も含めて)が採る戦略を両翼とすれば、ソニーが採っている戦略は、その中間を進むものといえるかもしれません。


ニコンのミラーレス戦略
キヤノンのミラーレス戦略
オリンパスのミラーレス戦略

コニカ・ミノルタの資産を引き継いだソニー

SONY α7 ILCE-7
ソニーのフルサイズ対応ミラーレスカメラ

フィルムカメラ全盛期に、オートフォーカス一眼レフの時代を切り開いたミノルタが採用したレンズマウントが「αマウント」でした。2006年、これを引き継いだソニーは、α100を皮切りにデジタル一眼レフをリリースし始め、2008年にはフルサイズのイメージセンサーを搭載したα900も市場に投入しています。

2010年8月には、デジタル一眼レフのクイックリターンミラーをトランスルーセント技術に基づく固定式半透明式薄膜ミラーに置き換えたα55/α33が登場し、以後のαマウント(Aマウント)カメラはすべてこの方式を採用しています。固定式のミラーを採用することで、ミラー動作による画質劣化を防止するとともに、可動部分が減ることで連写機能の高速化やボディの小型軽量化を実現できた一方で、常に半透明膜を通して画像が記録されることによる光量の損失(概ね30%程度、約1/3段)というマイナス面もあります。

しかし、イメージセンサーの進化により、高感度性能が飛躍的に向上していることを考えると、それほど気にする必要はないのも事実です。

αEマウントでミラーレス市場に参入

2010年は、ソニーがミラーレスカメラ市場に参入した年でもあります。α55/α33に先立つ6月、αEマウントを搭載したαNEX-3が市場に投入されました。このことは、もともとαAシリーズとαEシリーズとは、共存するシステムとして位置づけられていたことがわかります。

デジタル一眼レフからクイックリターンミラーを廃したことで、αAシリーズは構造的にもミラーレスカメラに準じたカメラとなっており、両システムを共存させることによる開発コストの増大を抑制することにも成功しています。ペースは落ちているものの、αAマウントに対応したカメラボディもリリースできているのも、こうした背景があるからこそであるといえます。

急速にラインアップを整備

注目しなければいけないのは、αAマウントと共存している一方で、ミラーレス用レンズの新製品が立て続けにリリースされていることです。

焦点域の重複や、新たにフルサイズに対応したレンズを揃えるなどの点はあるものの、2010年の登場から7年余で、すでに40本近くのレンズが揃えられています。本数から言えばαAマウントを超えており、カメラボディの品揃えを含め、ソニーがいかにミラーレスカメラに力を入れているかがわかります。

ソニーのミラーレスカメラとレンズ

カメラ
レンズ
2017年
FE 12-24mm F4 G SEL1224G
FE 16-35mm F2.8 GM SEL1635GM
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS SEL100400GM
FE 85mm F1.8 SEL85F18
FE 100mm F2.8 STF GM OSS SEL100F28GM
E PZ 18-110mm F4 G OSS SELP18110G
2016年
α6500 ILCE-6500
α6300 ILCE-6300
FE 50mm F2.8 Macro SEL50M28
Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
FE 50mm F1.8 SEL50F18F
FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS SEL70300G
FE 85mm F1.4 GM SEL85F14GM
FE 24-70mm F2.8 GM SEL2470GM
FE 70-200mm F2.8 GM OSS SEL70200GM
2015年
α7S II ILCE-7SM2
α7R II ILCE-7RM2
FE 90mm F2.8 Macro G OSS SEL90M28G
FE 28mm F2 SEL28F20
Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA SEL35F14Z
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS SEL24240
2014年
α7 II ILCE-7M2
α5100 ILCE-5100
α7S ILCE-7S
α6000 ILCE-6000
α5000 ILCE-5000
Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS SEL1635Z
FE PZ 28-135mm F4 G OSS SELP28135G
2013年
α7 ILCE-7
α7R ILCE-7R
αNEX-5T
αNEX-3N
FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS SEL2870
Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA SEL35F28Z
Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS SEL2470Z
FE 70-200mm F4 G OSS SEL70200G
E PZ 18-105mm F4 G OSS SELP18105G
Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS SEL1670Z
E 20mm F2.8 SEL20F28
E PZ 18-200mm F3.5-6.3 OSS SELP18200
2012年
αNEX-5R
αNEX-6
αNEX-F3
E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS SELP1650
E 35mm F1.8 OSS SEL35F18
E 10-18mm F4 OSS SEL1018
E 18-200mm F3.5-6.3 OSS LE SEL18200LE
2011年
αNEX-7
αNEX-5N
αNEX-C3
E 50mm F1.8 OSS SEL50F18
E 55-210mm F4.5-6.3 OSS SEL55210
Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA SEL24F18Z
SEL30M35
2010年
αNEX-5
αNEX-3
E 16mm F2.8 SEL16F28
E18-55mm F3.5-5.6 OSS SEL1855
E18-200mm F3.5-6.3 OSS SEL18200

ソニーのミラーレスカメラ戦略は?

ソニーは、基本的には、現在の進路を淡々と進んでいくことになると思われます。ミラーレスカメラに重点を置きつつ、αAマウントカメラについては、いずれかの時点で徐々にフェードアウトしていくことになると予想できます。とはいえ、α77M3 ILCA-77M3のリリースも間近であることを考えると、その時期はしばらく先になるのだと思います。

ソニーのミラーレスへの期待

ソニーのミラーレスカメラは、すでにフルサイズへの対応も果たしており、ラインアップはほぼ完成の域に達しています。それでも、撮影シーンによっては、デジタル一眼カメラ、α77M2やα99M2が適している場面も残されています。


たとえば、望遠域の撮影では、しっかりとしたグリップやボディ剛性が欲しいですし、連写性能もαAマウントカメラにアドバンテージがあります。また、オートフォーカス性能についても、さらにブラッシュアップが必要です。このあたりを踏まえ、文字通りα99M2を凌駕するカメラの登場が期待されるところです。